THE LAUGHING WOLF

便所のお供に、是非。

今更『用心棒』を観た

私は映画やドラマに全く関心が無い。

本も殆ど読まない。

 

今年人生で初めて、自分の意志で映画館まで足を運んで『ボヘミアン・ラプソディ』を鑑賞したが、兎角そのくらい映画・ドラマに触れずに人生を送ってきた。

 

 

昨晩、大学時代の先輩と二人でご飯を食べた。

先輩は結構な映画好きで、私が映画をほぼ観たことがない旨を伝えると

「てことは数々の名作をこれから初見で味わえるんか。めっちゃ羨ましいなあ」

と仰った。

俄然興味が湧いたので、オススメの作品を何本か教えてもらった。

 

紹介された作品の中から、今日観たのは黒澤明監督の『用心棒』。

 

黒澤明といったら『七人の侍』じゃないのか、と先輩に問うと

「用心棒の三船敏郎が最高に渋い」とのこと。

 

 

以下110分観終えての感想。

 

 

余計な描写のなさ、言い方は悪いが淡々と地味に運ばれる映像にぐっと引き込まれた。

映画のことを全然知らないので憶測でしかないんだけど、こんだけ淡々としてるのって結構異質じゃないのかな。

畢竟するに説明の台詞とか演技の付随動作が付加されればされる程こっちの興味は削がれていくわけで。理想的なのは飛龍伝で筧利夫がやってたみたいな、突っ立ってただただ台詞吐くだけで客が泣く、みたいな「情緒のある棒読み」に通づるものが全編通して感じられる。ひたすらにリアル。映画を知らない人間の勝手なイメージで黒澤明の映画はもっとチャンバラすると思っていたので、序盤の殺陣のシーンの呆気なさも胸に来るものがあった。

しかしまぁ三船敏郎がえげつなくてめちゃくちゃ笑ってしまった。人間すごすぎるものを目の当たりにすると思わず笑ってしまうが、まさにそれ。侘び寂びでいうところの寂びが人の形をして動いているような空気の出方。この時40歳くらいだと思うんだけど現代の40歳の役者さんでこんなことできる人いるんだろうか。画面越しで見ているこちらに唾を飲む隙すら与えない気迫。全シーン通して殺気を纏っていた。

 

三船敏郎に限らず、全役者さんの眼が凄まじい。大部屋俳優を含めて。やっぱり戦争を経験した人達って言葉では言い表せないオーラがあるんだよなぁ。20代の頃の三船敏郎の写真、完全に仕上がってるし。

あと仲代達矢超かっこいい。

あとジャイアント馬場が出てると思ったら別人だった。

最後の藤原釜足演ずる多左衛門が発狂するシーンGood。一番震えた。

良かった。もう素敵。

 

 

次は『ゴッドファーザー』を観る予定。