THE LAUGHING WOLF

便所のお供に、是非。

アメリカの苗字と日本の苗字

「外国の苗字に関心は無いの?」と訊かれることがよくある。

ぶっちゃけ無いのだが、まぁブログのネタにでもするかと思い、アメリカの苗字に就いてちょっと調べてみた。

 

 

アメリカは一応、世界で一番苗字の種類が多い国。

日本が30万種(読みの区別も含める)であるのに対し、アメリカは150万種の苗字があると言われている。

然しアメリカは「人種の坩堝」と云う呼称が示す通りの多民族国家である為、種類が多いのはまぁ当然っちゃあ当然。

 

アメリカで多い苗字トップ10は

  1. Smith(鍛冶屋)
  2. Johnson(Johnの息子)
  3. Williams(Williamの息子)
  4. Brown(色黒、茶髪)
  5. Jones(Johnの息子)
  6. Miller(粉屋)
  7. Davis(Davidの息子)
  8. Garcia(槍?スペインで一番多い苗字)
  9. Rodriguez(Rodrigoの息子。スペイン系)
  10. Willson(Willの息子)

となっている。


ここで特筆すべきは日本で馴染みのない「~の息子」と云う意味の父称姓、そして五つ前の記事にも書いたニックネーム姓の二種。

 

父称姓は、外国では大変多い苗字の種類である。

その多くは「~の息子」を表す接頭辞や接尾辞がつくもので、有名なところではマクドナルド(McDonald)の"Mc",マッカーサー(MacArthur)の"Mac",その他"M' ",などがそうである。これらはスコットランド系の移民の父称姓。

 

分かり易い父称姓として、アメリカで二番目に多い苗字のJohnsonのように末尾に"son”がつくものが挙げられる。これらはイングランド式の父称で、アンダーソン(Anderson)、ウィルソン(Willson)、ジャクソン(Jackson)、ウィルキンソン(Wilkinson)、ギブソン(Gibson:GibはGirbertの短縮形)など、日本人にも馴染み深いものが多い。アンダーソンに対応するデンマーク父称アンデルセン(Andersen)であったり、マクドナルドのイングランド父称姓はドナルドソン(Donaldson)であったりするように、互換が可能なのも面白い。

 

その他末尾に"s"がつくもの(Williams,Jacobsなど)、頭に"O' "がつくもの(O'Brienなど:アイルランド系)などがあり、父称姓ひとつとっても大変多様性があることがわかる。アメリカが人種の坩堝であることを痛感させられる。

 

先にも書いたように父称姓をもつ国は多い。ロシアの「~スキー」や「~ビッチ」、アラブの「ビン~」などもそうである。デンマークの苗字ランキングを見ると1~10位まで全て「~セン」の父称姓で埋め尽くされている。

 

 

ニックネーム姓はその名の通り個人の特徴を示したもので、身体的特徴を表したものから性格を表したもの、動物に例えたものなど様々な種類がある。

 

身体的特徴を表したものではBrown(色黒、茶髪)、White(色白)、Young(若い)、Long(長身)、Bone(骨≒痩身)、Cameron(曲がった鼻)、Kennedy(醜い頭)などが挙げられる。

性格を表したものにはTruman(誠実な人)、Keen(切れ者)など。

動物に例えたものにはFox(狐:赤髪、若しくは狡猾な人)、Hawk(鷹:獰猛な人)、Peacock(孔雀:派手な服装の人)、Woodcock(啄木鳥:馬鹿)など。鳥の名前が苗字になっているケースは多い(Swan,Swift,Crow,Kite,Bird,etc.)。

 

その他、動詞+名詞で構成されたニックネーム姓もある。Lovelady(女好き)、Kellogg(kill+hogで豚殺し=肉屋)、Shakespeare(槍を振る=暴力的な人、若しくはspear=ペニスの意で露出狂)など、とんでもないものも見受けられる。

 

 

上記から、家制度を重んじた日本の苗字と比較して、アメリカの苗字には個人を表すものが多いことが分かる(一応アメリカで一番多いのは地形姓)。というかそもそも「名前・苗字」の順に名乗る諸外国に於いて苗字は然程重要なものでは無く、飽く迄個人の区別をするためにつけたものであるため、日本ほど苗字は重んじられていないのである。

 

この記事を書くにあたってアメリカの面白い苗字、珍しい苗字を調べてみたけれど、あんまり引っ掛からなくてびっくりした。"English"さんの友達が"French"さんだったって云う記事を見つけた程度。やっぱりみんなそんなにアメリカの苗字に関心無いんだね。

 

私が外国の苗字に興味を持たない理由として、漢字の有無が挙げられる。漢字の持つ力は絶大で、例えば"Undead"と云うアメリカの苗字が仮に存在したとしても、「不死川」と云う苗字のインパクトには敵わない。それは我々日本人が感受出来る「死」と云う漢字の持つ威力と、苗字に「死」が入るなんて有り得ない、と云う漢字と苗字に対する先入観から成っている。26種類しかないアルファベットを組み合わせただけの苗字よりも、何万種もある漢字を組み合わせた日本の苗字の方が調べてて楽しいってはっきりわかんだね。

 

 

 

因みに中国には、ごく少数ではあるが「死」さんが実在する。死姓の人は押し並べて下の名前に「生」の字が入っているという。中国の苗字に就いてはまたの機会に