THE LAUGHING WOLF

便所のお供に、是非。

ピエロ

私は高校時代器械体操部のキャプテンを務めていたのだが、高校入学当初は水泳部に入ろうと心に決めていた。私が唯一得意とするスポーツが水泳だったため、小中学校に水泳部が無かったことも相俟ってその決意は固かった。

私の高校には入学式の恒例行事として「30秒CM」なるものがあった。各部活動に30秒の持ち時間が与えられ、その時間内でパフォーマンスをすると云う勧誘活動の一種だ。

私はそこでのジャグリング同好会のパフォーマンスに大変惹きつけられた。入学式が終わる頃、最早水泳部のことは眼中に無かった。

大学のサークルよろしく四月は様々な部活を体験できる期間で、昼休みの時間には一年生の教室にいろんな部活動が押し掛け、教卓で部の説明なりコントなりを披露して新入生の確保に躍起になっていた。

そんな中で、私は体操部に心を奪われた。体操部のパフォーマンスは「今からバク宙しまーす」と言ってバク宙するだけの至ってシンプルなもの。色白の冴えない感じの先輩がさらっとバク宙をこなす姿を見て、最早幻想に近かった男の憧れスキル「バク転」「バク宙」を自分も会得したいと強く思った。

扠、ジャグリング同好会と体操部、どちらに入ろうか。両部活の体験を終え、私は逡巡した。どちらも動機は「何か一芸を身に付けたい」と云うもの。私は昔っから下らない芸当を身に付けるのが好きで、ホーミーだの円周率の暗唱だの歴代天皇の暗唱だの、ほぼ日常生活に役立たないスキルばかり習得していた(天皇だけは受験の時めちゃくちゃ役に立った)。

然しアクロバットとジャグリングはどちらもモノにすれば大きな武器となる。考えた結果、ジャグリングは高校でなくてもやれる機会がありそうだが、アクロバットは設備と直接のコーチングが無ければ練習する機会は無いだろう。こうして私は体操部に入ることに決めた。実際は体操部の先輩達の人柄に惹かれただけなんだけど。



あれから7年。

先月、とある縁から結婚式のフラッシュモブに参加してきた。式場のスタッフに扮してダンスやら小芝居やらのパフォーマンスを行ったのだが、そのメンバーに私と同い年の、某大学のジャグリングサークルに所属している男の子がいた。

5つのボールを巧みに操る彼のジャグリングを間近で見て、7年前の熱が静かにぶり返してきた。

今月の頭、彼が主催するジャグリングユニットの公演を観て、私の中の炎は鎮まりようがなくなってしまった。今だ。今こそ、先延ばしにしていたジャグリングを会得する時だ。












そして今日。












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買っちゃったよ。



ジャグリングってお金かかるんだね。
このボール1個864円もしたよ。864円×5個+送料で、しめて4,860円。

取り敢えず30分程3ボールカスケードの練習をしてみたのだけど、結構疲れる。こんなに汗をかくとは思わなかった。最高で12キャッチ出来たのでジャグリング初日にしてはまぁ満足の成果。

熱しやすく冷めやすい私なのでいつまで続くか分からないけれども、5ボール操れるようになったらいいなー。バク転バク宙が出来て更にジャグリング出来るようになったら最早ただの大道芸人だよな自分。否、芸は身を助くと云う諺言を信じよう(バク転もバク宙もホーミーも芝居に生かされたためしが無いのだが)。



因みに一昨日知ったのだが私に火を点けた彼はジャグリング界の有名人らしく、ジャグリングの全国大会の決勝進出経験もあるみたいで、YouTubeでも動画が多く見つかった。YouTubeでの外国人からの絶賛コメントを読んで、「はぇ〜俺も芝居ガンバろ」と思いました