THE LAUGHING WOLF

便所のお供に、是非。

辛いものと私

「辛味」は味の一種であり、「甘味」「酸味」「苦味」「塩味」と並ぶ重要な味覚の一つとして挙げられる。

然し生理学上、味覚は「甘味」「酸味」「苦味」「塩味」「旨味」に分類され、「辛味」は痛覚の一種とされている。即ち、辛いものが好きな人はマゾヒストなのである。因みに「辛」と云う漢字は刺青を彫る針を模した象形文字である。

 

ちびまる子ちゃんの山根くんが裸足で逃げ出すレベルで胃腸が弱い私だが、困った事に昔から辛いものには目がない。得意とするのは専ら唐辛子の辛味であり、カレー等の香辛料系の辛いものにはあまり耐性が無い。

私の両親は共に辛いものが大好物で、尚且つカプサイシン耐性が並大抵でなく、普段から様々な激辛食品を嗜んでいる。そんなマゾな二人から生まれた私は辛いもの好きのサラブレッドと言っても過言ではない。

 

私は物心つく前からそのサラブレッド振りを遺憾無く発揮していたらしく、弱冠二歳にしてみながわ製菓の『とうがらしの種』を「おいしい」と言ってボリボリ食べていた、十歳の時に涼しい顔で食べていたキムチチゲをばあちゃんに一口あげたらばあちゃんが泣き出した、などその激辛エピソードは枚挙に遑が無い。何故か弟の方にはカプサイシン耐性が行き届かなかったらしく、夕餉がキムチ鍋だった日には弟だけカレーを食べるなんてこともあった。

 

然し大学に入り一人暮らしを始めたことに伴い、激辛食品から離れた生活を送る今日この頃。今の私の生活に於いて激辛との触れ合いは、ヴィレッジヴァンガードで激辛ぺヤングと激辛マニアを纏め買いして家で貪る程度。激辛マニアは市販スナック菓子では最高峰の辛さだと個人的に思う。

最近これら市販の激辛食品にも食傷気味であったので、ネットで激辛調味料を何点か購入してしまった。

 

まずはこちら。

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「デスソース4種セット」。激辛ソースとして比較的有名なデスソースのラインナップから「デスソース」「サルサデスソース」「アフターデスジョロキア」「サドンデスジョロキア」の4種をセットにしたもの。髑髏のアクセサリーがオシャンティ。

辛さを示す単位にスコヴィル値と云うものがあるのだが、タバスコが2,500~5,000スコヴィルであるのに対し、これらデスソースはそれぞれ10,000、15,000、50,000、100,000と云う数値を叩き出している。

前者2種のソースはハバネロ、後者2種のソースはジョロキアをふんだんに使用しており、それぞれタバスコとはまた違った独特の風味を醸し出している。因みに唐辛子自体の辛さはハバネロが約500,000スコヴィルジョロキアが約1,000,000スコヴィルである。一般的な催涙スプレーは15,000~90,000スコヴィルだそうな(参考:Wikipedia)。

味はタバスコを濃縮したような感じの明らかに胃に優しくないもので、私はこれをカレーうどん等に混ぜて使用している。中でもサドンデスは本当に辛い。激辛ペヤング二人前をペロリと平らげる私だが、タバスコ感覚でサドンデスソースを入れたカレーうどんを食べた時は翌朝の排便タイムを憂いて気が遠くなった。最早セルフ罰ゲームである。因みに写真からも分かる通り私のお気に入りはアフターデスソースである。

このデスソースの厄介な所は注ぎ口がタバスコのようになっていないので、タバスコ感覚で使うとドバドバ出てきてしまって料理が悲惨なことになる点である。一滴でも無理な人は無理な辛さだと思うし、憖っか辛いもの好きを自称するような人は手を出さない方が良い。

 調べてみたところデスソースを製造しているブレア社は他にも多数激辛ソースを製造しているようで、4,000,000スコヴィルのソースや5,500,000スコヴィルのソースを販売しているらしい。なお日本で売られているものでは上記のサドンデスソースが一番辛い。

ちなみにブレア社の商品ではないが、嘗て世界で最も辛いソースと謳われた「ザ・ソース」と云うソースがある。こちらは7,100,000スコヴィルで、皮膚に付着すると火傷を起こし、小匙1杯半摂取すると死ぬらしい。これもう(調味料かどうか)わかんねぇな。

 

続いてこちら。

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「りょう君のジョロキア 一味唐辛子」。デスソースと比較すると外観の親しみ易さに安堵してしまう。これは竹内僚さんと云う方が激辛を求め、単身バングラディシュに渡り実際にジョロキア栽培して開発したというもの。公式ホームページでの煽り文句が凄かったので購入(完全なカモ消費者)。

然し食べてみると煽り文句にも納得のいく辛さで、夫々の食品の風味を損なうことなく激辛に仕立て上げてくれる逸品。普通の一味と同じ感覚で使うとえらいことになる(翌朝の肛門的な意味で)。一回一回の使用量が少なくて済むのでコストパフォーマンスも高い。

これと抱合せで「篠ソース」って云う万能ハバネロソースも買ったんだけど、美味し過ぎて早くも空にしてしまったから写真がねぇわ。あれはリピートせにゃならんわ。

 

これらの激辛調味料に因って、我が家の晩餐はより一層彩りのあるものになった。然し、分量を誤ると楽しい夕餉がただの拷問と化すので諸刃の剣である。興味本位で手を出してはいけない(戒め)。

 

 

ちなみに「辛党」と云う言葉は「甘いものより酒が好きな人」を指す言葉で、決して「辛いもの好き」を指す言葉では無いので皆さんお気を付けて