THE LAUGHING WOLF

便所のお供に、是非。

トロツキストの文字

ゲバ字と云うものを実際に目にしたのは京都に住み始めてからの様な気がする。

 
京都大学や、京大の学生寮である熊野寮周辺はゲバ字のオンパレードで、初めて訪れた時はその異様さにぎょっとした。自身の通う大学も僻地の方のキャンパスに行くと、BOX棟は凡そ昭和末期に建てられたとは思えない程の荒れっぷりを呈していて、建物の内壁は一面左の思想で覆われている。
 
ゲバ字の書体から、煽情的なものを感じるのは自分だけだろうか。
ゲバ字は左翼団体が主に用いるもの」という概念を取っ払っても、あの異形とも云える字体は人間の奥に眠る闘争心に働きかけるものがあるように思える。ゲバ字の「ゲバ」はドイツ語で暴力を意味する「Gewalt」から来ていると思われるが、あの字からその暴力性が滲み出ているのは誰でも感じ取れるのではないだろうか。
 
抑々どうしてあの様な字体になったのかはWikipediaに訊いてもグーグル先生に訊いても教えてくれなかったので全然分からんのだが(Wikipediaの「ゲバ字」の項目見たら使われてる写真が思い切り京大ので吹いた)、略字や中国での簡体字を交えたゲバ字の文章は却々に面白くて、見ていて飽きない。よく見られる略字は「戦」の簡体字である「战(占戈)」や、「国」の略字である「国の略字」など。こうした略字は授業のノートをとったりする際に大変便利なので、自分も愛用している。お歳を召された教授がたまに板書にこういった略字をさらっと交えてくるので、あー漢字が趣味で良かったーと思うことも屡々。
 
然しまぁ右だとか左だとか鳩だとか鷹だとかそういった思想に自分は全く頓着がないので、あまりまじまじと看板ないし張り紙を見るのも気が引けるのだが(声掛けられたりしたら怖いし)、そうそうお目にかかれるものでもないので京大に寄った際にはついつい見てしまう。つい最近熊野寮に機動隊がガサ入れに入ったそうだが、学生運動って、過去のものではないんだなぁとつくづくおもったねー